2016年7月15日金曜日

【エッセイ】さいごはグー!

古代オリンピックの五種競技。

競走をして、跳躍をして、円盤投げをして、やり投げをする。

で、最後に成績上位の2人で決着をつけるんだけど、それがレスリング+ボクシングみたいな格闘技で勝敗を決めたのだとか。


走ったり跳んだり投げたりやってきて、結局最後はなぐりあいかよ!


……まあわかりやすくていいですよね。
結局はけんかが強いやつが勝つっていうのは、自然の摂理にかなってるような気もする。



近代オリンピックでも取り入れてみたらどうでしょう。

42.195km走った後に、1位と2位がなぐりあいとか。

ショートとフリーのプログラムを滑り終えた後に、キム・ヨナと浅田真央がなぐりあいとか。

見てるほうからしたらすごく盛りあがる。


ただ、やるのは絶対にイヤだ。
入試が英語・数学・国語・日本史・物理・なぐりあいの6教科とかじゃなくて、ほんとに良かった。


2016年7月14日木曜日

【エッセイ】フードコートにまつわる怖い話

怖い話を一席。

ほんとに背筋が凍るぐらい怖い話なので、ホラーが苦手な人と、フードコートによく行く人は読まないほうがいいです。


先日、某大型ショッピングモールのフードコートを通りがかりました。
食事どきではなかったので客数はさほど多くなく、学生がぺちゃくちゃとおしゃべりをしているだけでした。

フードコートの端には手洗い場があり、布巾が置いてあります。
きれい好きな人はこの布巾を水でぬらし、テーブルを拭いてから食事をするのでしょう。


そこにひとりのおじさんが立っておりました。
頭はボサボサでしばらく洗った様子はなく、日焼けと垢でまっ黒な顔をした、まあ要するにおうちを持たないタイプのおじさんです。

私は、見るともなしにおじさんの様子を眺めておりました。

おじさんはフードコートの布巾を手に取ると、水で濡らし、よく絞りました。

そして、その布巾で、自分のお腹や腋をごしごしと洗いはじめましたのです


全身の血の気が引くとはこのことです。

すぐに周りを見渡しました。しかし他の客はおしゃべりに夢中で無住居型のおじさんには目もくれません。
おじさんの行為に気がついたのはぼくだけのようでした。

眼前で起こったことがいまだ現実のこととは思えません。
しかしぼくはたしかに見たのです。少なくとも1ヶ月は風呂に入っていないであろうおじさんが、共用の布巾を使って身を清めるところを。


ぼくはそのまま立ち去ったので、その後の顛末は知りません。

もし、おじさんが身体を拭いた布巾を持ち去ったのであれば、まあいいでしょう(それも良くないことではありますが)。


しかし、もし。

ぼくは想像してしまうのです。
おじさんが身体をていねいにこすった布巾を、元あったところに戻し、そうとは知らない誰かがその布巾でテーブルを……!

きゃー!!!




どうです、ほんとに背筋が凍りついたでしょう……?

だから読まないほうがいいといったのに!

ちなみにわたしは、あれ以来、そのフードコートを利用したことはありません。



2016年7月12日火曜日

【エッセイ】 リア銃。


電車の中で、大学生ぐらいの男女グループが

「ほんとあいつリア充だよなー」

「リア充爆発しろ!」

と、楽しそうにキャッキャッ言っていた。


「リア充」とか「リア充爆発しろ!」とかって、男女グループで楽しく談笑したりできない人たちが、自尊心を守るために生み出した武器のはず。

その武器を、どう見ても「リア充」側に属する人たちが使って、非「リア充」の人たちを傷つけている。


この感じ、何かに似ている。

……ああ、あれだ。

アメリカ人の銃に対する考え方だ。

銃規制反対派が「銃は善良な市民が身を守るために必要なものだ!」と主張して、その身を守るための銃によって多数の善良な市民が殺されているやつと一緒だ。

2016年7月11日月曜日

【読書感想文】施川ユウキ 『バーナード嬢曰く。』

施川ユウキ 『バーナード嬢曰く。1巻』

内容紹介 (Amazonより)
読むとなんだか読書欲が高まる“名著礼賛”ギャグ! 本を読まずに読んだコトにしたいグータラ読書家“バーナード嬢”と、読書好きな友人たちが図書室で過ごすブンガクな日々──。 『聖書』『平家物語』『銃・病原菌・鉄』『夏への扉』『舟を編む』『フェルマーの最終定理』……古今東西あらゆる本への愛と、「読書家あるある」に満ちた“名著礼賛”ギャグがここに誕生!!

ありとあらゆるものがマンガの題材になっている時代なのに、ありそうでなかった読書マンガ。

『名作小説をマンガにしてみました』とかはよくあるけど、「読書」について真っ正面から取り扱ったマンガは他に知らない。
読書もマンガも好きな人っていっぱいいると思うのにな。
ぼくもその一人だし。
読書ってのはものすごく内的な行為なのでマンガにしにくいのかもしれないね。動きもないし。


『バーナード嬢曰く。』は、内容紹介に「読むとなんだか読書欲が高まる」とあるとおり、本が読みたくなるマンガ。
熱を込めて「この本おもしろいよ!」って薦めているわけでもないのに。


本屋に行くと、「涙が止まらない感動巨編」って帯とか、「書店員が選んだ泣ける本No.1」みたいな安っぽいPOPが立ち並んでいるけど、ああいうのって本好きからするとへどが出るよね(書店でへどを出すと迷惑なんでこらえるけど)。

あれって本を読まない人、本の選び方を知らない人のためのものなんだよね。
本好きはあんなもので本を買わない。
ごく淡々としたあらすじだけで十分。何千冊も読んでいれば、自然と五十文字くらいのあらすじだけでおもしろい本を見抜けるようになる(はずれることも多々あるけど)。

たいていの文庫の巻末についている『他の文庫を紹介するコーナー』の魅力は、文庫好きなら誰もが知っているはず。



そんな『他の文庫を紹介するコーナー』みたいなおもしろさが詰まっているのが、『バーナード嬢曰く。』

あっさりした本の紹介と、軽めのギャグ。
まさに文庫目録のような軽妙さが心地いい。

このマンガで紹介されている本を読みたくなって、思わずマクニールの『世界史』とハインラインの『夏への扉』を購入してしまった(なにしろkindleで読んでいるので、あっという間に買えちゃうのだ。Amazonこわい)。


紹介されている本は、いわゆる『文学』だけかと思っていたら、ノンフィクション、ビジネス書、絵本、ケータイ小説など多岐にわたっている。
作者の好みが反映されているんだろう、SFにやけに比重が置かれているが。



このマンガのおもしろさのひとつは「読書家の本に対する姿勢」への言及。

読書家って、話題になっている本に対して素直な態度をとれないよね。
たとえば芥川賞をとった又吉直樹の『火花』。
本を好きな人ほど、あの本の扱いに困ってるんじゃない?

やっぱり「しょせんはタレント本でしょ」という気持ちもどっかにあるから、手放しでほめることはできない。
かといって全面的に否定するのも、芥川賞の歴史を軽んじてるようだし、そんじょそこらのにわか芥川賞ファンと一緒にされそうでイヤ。

結局、
「新人としてはスケールの大きい作品だが細かい点で粗も目立った。次回作に期待したい」
なんて、変に大上段にかまえた選考委員みたいなコメントをしてしまったりする。

あるいは、斜に構えて「おれは話題作とか読まないんだよね」みたいなスタンスをとってしまう(誰もおまえの読書傾向になんか興味ないっての)。
ぼくは完全に後者のタイプ。

そういう、本好きのひねくれたところをうまくギャグにしている。
特にSFファンからしたら「あるある!」なネタもたくさん。



ところで『読書好きがどういう評価をくだしていいか悩む作家 ダントツの第1位』である、村上春樹の名前がこの本には出てこない。

読書について語るなら村上春樹ははずせないだろう、あんなに評価の分かれる作家はいないんだから!


......と思っていたら、2巻では満を持して村上春樹に言及しているらしい。

いかん、2巻も買ってしまいそうだ。さすが「読むとなんだか本が買いたくなる」マンガ!


2016年7月10日日曜日

【思いつき】数字を使わずにね

「デジタルだと微妙な違いを表現できない」 みたいなことを云う人に訊きたいんだけど。 おまえは0.99と0.98の違いを、アナログ的に表現できるの?