2016年11月5日土曜日

【エッセイ】光源氏のように

ぼくの友人にNくんという豪傑がいる。

といっても迫りくる宇宙からの危機に全米でただひとり勇敢に立ち向かったり、五条大橋で刀を999本集めたりするタイプの豪傑ではない。

彼自身はいたって温厚な男だ。
彼が豪傑たるゆえんは、どんな怪しい誘いも決して退けないことにある。


インターネットの世界には怪しい誘いが跳梁跋扈している。
Facebookに会ったこともない若いオナゴから友だち申請が来たり、
LINEで届いたメッセージに
「ひさしぶり(*^^*) 携帯変えたからこっちに連絡ちょうだい(はぁと)アイコ」
という文章とともに何故かメールアドレスではなくURLが貼られていたりする。

Nくんは、そのすべての誘いに「とりあえず乗ってみる」のだそうだ。
友だち申請は承諾し、見るからに怪しいURLも一応クリックし、メールアドレスが載っていればひとまずメールを送るのだという。

もちろんNくんだってばかではないから(ばかなんだけど)、
それらの誘いの送り主が、出会い系または詐欺をなりわいとしているおっさんであることは知っている。

「じゃあなんで誘いに乗るんだよ?」

ぼくの問いに対して彼は、きっぱりと云った。
「でも万にひとつ、ほんとにエッチな出会いを求めているかわいい女の子からの誘いだったなら。きっと彼女は、すごく勇気を出してメールを送ったと思うんだ。そのけなげな想いを無駄にさせるなんて……おれにはできないっ!」


ジェ、ジェントルマンっ……!

本当の優しさとは、きっとこういうことをいうのだろう。

その手のメールは即座にごみ箱に放り込んでいるぼくのような小市民からすると、会ったこともない(そして実在するかどうかもわからない)淫乱女のために大量のスパムメールを甘んじて受け入れる彼は、まるで光源氏のようにまばゆい存在である。

そして光源氏のようにエロい。



2016年11月2日水曜日

【エッセイ】ジョジョの奇妙なロボコップ

プレイステーションVRというやつをはじめて体験したよ。
ロボコップのヘルメットをもっとかさばる感じにしたやつをかぶってするゲーム。

ロボコップって知ってる?
ロボットのおまわりさん。
っていっても観たことない人には伝わらないかな。
んーなんていったらいいかな。

あっ、そうだ例えていうなら『ビバリーヒルズ・コップ』のロボット版。
ってよけいにわからんね。



んでもとにかくそのロボコップをかぶってするゲームが、プレイステーションVR。
だからたぶん「バーチャル・ロボコップ」の略でVRなんだと思う。

それか「ビバリーヒルズ・ロボコップ」の略かも。
ワーオ、ハイブリッド!
(ビバリーヒルズはVじゃなくてBか?)



それはそうとVRの映像すごい。
ゲームの光景が、ほんとに目の前に広がっているみたい。
『ビバリーヒルズ・コップ』もびっくりのド迫力。


ぜひVRで『ジョジョの奇妙な冒険』のゲーム開発してほしいよね。
VRの世界に自分のスタンドが出てくるの。
で、動き回ったり、敵と戦ったり、落ちてる宝くじを広い集めたりすんの(重ちーのハーヴェストかよ地味だな!)。

もちろん「スタンドが傷ついたら本体もケガをする」という設定も生かしてほしい。
スタンドがケガをしたら、電気を流すなどして痛みを感じるようにしてほしい。
スタンドが熱いものに触れたら、熱を感じさせてほしい。

危険だけど、だからこそ、ものすごくスリリングなゲーム体験ができるはず。



たとえば冬場にスタンドがドアのノブに触れたら、生身の肉体にもバチッとくるとか。

たとえばスタンドがカップ焼きそばの湯切りに失敗したら、生身の肉体も熱さを感じるとか。
ついでに360゜サラウンドシステムで、台所のシンクのべこんっていう音が鳴り響くとか。


そういうド迫力なゲームを期待してるよ!!


2016年10月31日月曜日

【おもいつき】イカれのには理由がある

イカれたメンバーを紹介するぜ!


まずはギター!
彼女にフラれてから、投函もしない愛の手紙を毎日書きつづけている!


次はベース!
毎日終電までの激務のせいで、朝布団から出られなくなった!


それから紅一点!
自分は汚れていると思って1時間以上も執拗に手を洗いつづけるキーボード!


最後はこの俺!
創作の苦悩のあまり、自分の耳をそぎおとしたボーカル!


このイカれた4人のメンバーがお送りするぜ!



観客(内に向かうタイプのイカれかたか……)

2016年10月28日金曜日

【エッセイ】結婚式における脇役

妻の妹の結婚式に出席した。

で、思ったんだけれど、「新婦の姉の夫」って結婚披露宴の出席者の中でもいちばんの脇役じゃない?
新郎新婦と直接交流があるわけでもない。血のつながりもない。


結婚披露宴における主役は、誰がなんといおうと花嫁。
これは異論がない。
野球でいうとピッチャーで4番。

準主役は花婿。
野球でいうとキャッチャー。
花嫁に比べると大きく差はあるけれど、いなくてはゲームが成立しないポジション。

内野手は、新郎新婦の両親あたり。
新郎父親は、両家を代表して挨拶するので、内野の要のショート。
新婦父は花嫁をエスコートするので、重要だけどさほど難しくないファースト。
『お母さんへ』の手紙を読んでもらえる新婦母がサードで、特に出番のない新郎母がちょい地味なセカンド。


身内だけでやる結婚式もあるぐらいだから、内野手だけでもいちおう野球の試合にはなる。

でも本格的にやるなら外野手もいないとね。

新郎新婦の友人たちや会社の同僚たちが外野手だね。
新郎新婦からはちょっと離れたところにいるけど、活躍次第ではピッチャーよりも目立つこともあったり。
「式のことはぜんぜん覚えてないけど、余興やスピーチだけは印象に残っている」って披露宴もあるもんね。


披露宴の司会者はウグイス嬢。
受付はビールの売り子。
決して目立つことはないけれど、この人たちの働きがあるからこそ野球観戦は大いに盛り上がる。


新郎新婦の親戚は、球場に観にきているファン。
特に出番はなく、拍手を贈るのが仕事。
「あの小っさかった○○ちゃんがこんな立派な花嫁さんになって......」と感動したりもする。
多めのご祝儀という形でお金を落としてくれるところもファンと一緒だね。


で、新婦の姉の夫(ぼく)はというと......。

「野球ファンの彼氏につれてこられた、野球にぜんぜん興味のない彼女」ですかね......。


2016年10月26日水曜日

【エッセイ】素材の味を楽しむために

寿司食ってたら、食通ぶったやつが

「醤油をつけると素材の味が死んじゃうから、通は醤油をつけずに云々」

としょうもない持論を展開していて、

うるせえよ素材の味を楽しみたいならシャリじゃなくて稲に生魚のせて食っとけよばか!