2023年12月26日火曜日

都市と郊外の外食文化について

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 通信技術の発達により、都市と文化で入手できる情報の差は大きく縮まった。

 もちろん劇場に足を運んだり、映画館に通ったり、展覧会に行ったりは圧倒的に都市のほうがしやすい。とはいえ、まったく同じではないにせよ、オンライン配信などで現地に行かなくてもアクセスできる機会は大きく増えた。

 また、ネット通販などの普及で、ほとんどのものが日本中どこでも買えるようになった。


 そんな時代において、都市と地方でもっとも差が大きいのは外食文化じゃないだろうか。

 そもそも外食店がほとんどない田舎はもちろん、郊外都市においても、外食文化は都市部と比べて大きく見劣りする。

 イオンモールや国道沿いに立ち並ぶ店に行けば、ひととおりのものは食べることができる。ラーメン、ハンバーガー、うどん、そば、和食、中華、イタリアン、寿司、お好み焼き、しゃぶしゃぶ、洋食、牛丼、カレー、珈琲……。一通りはある。一通りは。

 だが、選択肢は少ない。そばならあの店、寿司ならあそこかあそこ。選択肢はせいぜいひとつかふたつ。

 また、一通りはあるが、それ以上はない。スリランカカレーの店も、スペインバルも、タコスのうまい店も、太刀魚料理専門店も、高知郷土料理も、創作寿司の店も、立ち呑み屋も、鯨料理の店も、玄米食堂も、ない。

 ぼくが生まれ育った郊外の市(人口十数万)がそんな感じだった。だいたいの店はある。けれど個性的な店は少ない。そもそも個人店が少ない。人口百万超都市に引っ越して、世の中にはこんなにもいろんなめずらしい料理屋があったのかとおもったものだ。


 日本中、いや世界中どこにいてもいろんな情報やモノにアクセスできる時代になったけど、メシばっかりはそうかんたんにはいかない。お取り寄せは食べに行くのとぜんぜんちがうものだし。そもそも「注文して、1週間後に到着して、盛り付けたりあたためたりして食べる」と「今日何食べよっかなーと考えながら店に行く」が同じ体験であるはずがない。

 メシって人生においてかなり重要な部分なのに、地方移住の話をするときにそのへんの話が語られなさすぎるんじゃないかな。

「うちの市は人口のわりに飲食店がすごく多くて、バラエティも豊富で、台湾みたいに外食文化が盛んなんですよ」って街があったらけっこう人を惹きつけられるんじゃないかな。外食好きな人が集まれば飲食店も増えて、相乗効果でどんどん盛り上がるだろうし。


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