2024年2月22日木曜日

エレベーターのボタンを両方押すとかえって遅くなる。自分自身も。

 

 エレベーターに早く来てほしくて、ボタンをふたつとも(ふつうの呼び出しボタンと車椅子用エレベーター用呼び出しボタン)押すやつがいる。早く現世から退場してほしい。

 彼ら彼女らが愚かなのは、「自分さえよければ他人はどうでもいい」やつだからではない(それもあるが)。「他人はもちろん、自分も損しているのにそれに気づいていないから」だ。

 エレベーターのボタンを両方押すと、かえって遅くなる。


 たとえばエレベーターが2機あるとする。1機は小さめのエレベーター(A)、もう1機は車椅子用エレベーター(B)とする。ともに1階に停止している。

 10階から1階に行きたい人が[↓]のボタンを押す。するとエレベーター(A)が上昇をはじめる。

 数秒遅れて5階の人が[↓]のボタンを押す。エレベーター(B)が上昇をはじめる。

 他にボタンを押す人がいなければ、エレベーター(A)もエレベーター(B)も1階から呼び出された階まで上昇し、人を乗せ、止まることなく1階に到着する。どちらも必要最低限の時間で1階に到着する。


 一方、10階から1階に行きたい人の思考能力が欠如しており、[↓]のボタンを押し、さらに車椅子用エレベーター呼び出しボタンも押した場合を考える。

 この場合、エレベーター(A)が上昇をはじめ、10階に向かう。少し遅れてエレベーター(B)も10階に向かう。

 5階の人も[↓]のボタンを押すが、エレベーターは2機とも5階を通過して10階に向かう。なぜなら両機とも「10階から先に呼び出された」という指示を優先するから。

 10階でボタンをふたつとも押した阿呆は、先に到着したエレベーター(A)に乗る。当然ながら、エレベーターが到着する時間はボタンをひとつだけ押したときと変わらない。

 少し遅れてエレベーター(B)も10階に到着するが、誰も乗る人がいないのでそのまま無駄に待機する。

 エレベーター(A)は阿呆を乗せて下に降りる。そして5階で止まる。5階で呼び出した人を乗せるため。


 つまり、阿呆がボタンをふたつとも押すことで、

・5階の人は、本来スムーズに来たはずのエレベーター(B)に一度素通りされるので損

・10階の阿呆は、本来ノンストップで1階まで降りられたはずなのに、途中で5階に止まるので損

・エレベーターは両方とも10階に向かうことになり、無駄にエネルギーを消費

と、三方一両損なのだ。

 ボタンを全部押す阿呆は思考能力が欠如しているので「全部押せば早くなる。少なくとも遅くはならない」と信じているかもしれないが(すべてのエレベーターが独立して動いているのであればその通りだが、そんなエレベーターはほぼないだろう)実際は「全部押しても早くはならない。状況によっては遅くなる」のだ。


 自分自身も損をすることに気づかず、今日も阿呆はエレベーターのボタンを全部押す。



 ということで、エレベーターのボタンを全部押すやつはきっちり捕まえて、1時間の違反者講習を受けさせることにしようぜ!



2024年2月20日火曜日

小ネタ10

ジブリの乗り物

 ジブリアニメでいちばんスリルのある乗り物は、ドーラの飛行船でもなく、ポルコ・ロッソの飛行艇でもやく、キキのほうきやトンボの改造自転車でもなく、誰が何といってもリサの軽自動車。


今はもう

 ひゃくねんやすまずに チクタクチクタク

 おじいさんといっしょに チクタクチクタク

 いまは もう うごかない

 その点P


四段論法

 馬鹿な子ほどかわいい

 かわいい子には旅をさせよ

 旅は道連れ

→ 馬鹿は道連れ



2024年2月16日金曜日

懺悔

 みんなで食べようと買ってきたじゃがりこを置いていたら、なくなっている。家族の誰かが食べたにちがいない。

 買ってきてから、なくなっていることに気づくまで、家にひとりでいたのは長女だけ。

 長女は学校から帰った後にときどきお菓子を食べている。だらしないのでよく机の周りにお菓子のごみが置きっぱなしになっている。

 長女に「食べた?」と訊くと、知らないという。

 しかし、状況的に長女以外はありえない。

「食べたらだめって言ってるわけじゃないんだよ。何も言わずに置いといたお父さんが悪いんだから。食べたからって怒ったりしないよ」と伝えた後に、「食べたでしょ?」と訊くと、やはり長女は「食べてない」と言う。

 以前にも同じようなことがあって、そのときも犯人は長女だったのだが嘘をついてごまかそうとした。こいつぜんぜん反省してないじゃないか。

「なあ、食べるなって言ってるんじゃない。食べたことを隠すなって言ってるの!」と強めに叱った。長女は「知らんし……」と言ったきり黙りこんでしまった。


 出勤のために家を出てからも、もう、なんで嘘を認めないんだとぷりぷりし、電車の中で「子ども 嘘 認めない」なんて検索してどう対処したら潔く嘘を認められるんだろうと考え、帰ってからも長女に対して「今日はお菓子食べたらだめだよ!」なんて冷たくあたっていた。

 少しして、長女が食料品置き場をごそごそやっていたとおもったら、出てきたのだ、じゃがりこが……。


長女「あったよ」

ぼく「えっ……、どこに」

長女「べつのお菓子の袋の奥のほうに入ってた」

ぼく「あー……。ごめんなさい」


 めちゃくちゃばつが悪い。

 しかも、長女はそれ以上何も言わないのだ。いっそ「ほら、食べてないって言ったじゃん!」とか責めたててくれたほうがまだいいのに、何も言わないのだ。ぼくの謝罪をあっさり受け入れ、あとは普通に接してくる。余計に心苦しい。

 こいつ、なんて大人なんだ……! 父親があんなにみっともないふるまいをしてというのに……!


 愚かな自分を忘れぬよう、自省のためしたためる。



2024年2月14日水曜日

【読書感想文】杉井 光『世界でいちばん透きとおった物語』 / フォークだけすごいピッチャー

世界でいちばん透きとおった物語

杉井 光

内容(e-honより)
大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが―。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。

【核心のネタバレは避けるようにしますがネタバレにつながるヒントにはなってしまうとおもいます】


2024年2月13日火曜日

第2回門戸厄神厄払いツアー

「厄払いしないと悪い目に遭うと脅されて行くのは嫌だから、厄年のおっさんたちが楽しく行く厄払いツアー」を今年も決行した。

 早生まれのぼくは今年が本厄、同級生たちは後厄だ。


 去年は厄年おっさん四人で行ったが、うちひとりは子どもの病気のため今年は欠席。しかし新たに二人を加え、おっさん五名での厄払いツアーとなった。それぞれ子どもたちも連れてきて、おっさん五名+子ども五名の大所帯だ。

 去年は阪急門戸厄神駅から歩いたが、今年は甲東園駅に集合。そこから「山陽新幹線記念公園」なる公園に行く。公園から山陽新幹線が通るところをを見下ろすことができるという新幹線好きにはたまらないスポットなのだ。が、電車好きの子どもが病気により欠席だったため、特に新幹線に心躍る人はいない。「新幹線が見える」と「新幹線建設工事中に亡くなった人の慰霊碑がある」以外には何にもない公園なので、すぐに退去。そこから歩いて厄神明王のおわします東光寺へ。

 去年もやってもらった「そえごま」なる厄払い儀式。八百円払う。

(去年の日記を見て気づいたのだが、去年は五百円だった。一年で六割の値上がり! 原油価格高騰の影響がこんなところにまで)

 お参りをして、御守りを買う。そういえば去年ここで娘に御守りを買ってやってランドセルにつけていたのだが、少し前にその御守りが破れて穴が開いていた。ランドセルにぶらさげているだけなのになぜ穴があくのか、とおもって買いなおしたのだが、その御守り、なんと「身代わり御守り」という名前なのだ。ということは娘の身代わりになって破れたのか。御守りがなかったら娘が破れていたかもしれない。


 参拝の後、近くの関西学院大学まで歩く。関西ではよく知られた名門大だ。「かんさいがくいん」ではなく「くゎんせいがくいん」と読む。小さい「ゎ」の字を使うのは関学とシークヮーサーだけだ。

 関学は関係者以外でも自由に出入りできる。芝生の上では、近所の家族連れがシートを広げてお弁当を食べたり、子どもたちがボールやラジコン遊びに興じている。

 偶然にも我々五人のおっさんのうち二人が関学に通っていた。だが一人は関学に一年だけ通った後他の大学を受験しなおしてそちらに移り、もう一人は関学卒業後に別の大学に入りなおした。ふたりとも最終学歴が関学でない。つまりは「関学を捨てたやつら」だ。だがそんな連中も関学は拒まない。懐の広い、いい大学だ。


 関学の芝生で缶蹴りや大縄跳びやケイドロで遊び、おやつを食べた。おっさんのひとりが「嫁さんが怒っているから早めに帰るわ」とトボトボと帰っていった。後ろ姿の悲壮感がすごかった。厄払いしても、厄は家にいる。


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