2018年4月29日日曜日

あえて今ラブレター


知り合いの二十代の女性。美人でとてもモテる子だ。「最近のモテエピソード聞かせてよ」と云うと、知らない人からラブレターをもらったと教えてくれた。

「今どきラブレター? しかも二十代になって?」

 「そう、びっくりしちゃった」


通勤途中によく顔をあわせる同い年ぐらいの男性から、いきなり手紙を渡されたのだという。
読むと、いつも顔をあわせているうちに好きになってしまった、一度もしゃべったことがないのにこんな手紙を渡されて気持ち悪いと思われるかもしれないがどうしても伝えたかったので手紙を書いた、いきなり付き合ってくれとは言わないがもしよかったら会って話す機会でももらえないだろうか、という内容だったそうだ。


すごくまじめな手紙だ。手紙を書いた男性の、礼儀正しさ、誠実さ、女慣れしていないところ、そして勇気が十分に伝わってくる。
男のぼくでさえも「なんてかっこいいんだ」と思う。顔も知らない男性だけど応援したい。

「すごくいい人じゃない」

 「そうなんですよ。顔はぜんぜんタイプじゃなかったけど、その手紙で好感度はめちゃくちゃ上がりましたね」

「じゃあオッケーした?」

 「いやでも彼氏いるから。だから気持ちはすごくうれしいけどつきあってる人いるんでごめんなさい、って返事しました」

「そっかー……。残念だなー……。めちゃくちゃ勇気ふりしぼったと思うのにな……。うーん、彼氏いるならしょうがないか……、でもやっぱり諦められないなあ……。なんとかならない……?」

 「なんで犬犬さんがフラれたみたいにショック受けてるんですか」


ラブレターなんて今どきは中学生でも書かないかもしれないけど、だからこそ効果は絶大だ。気になる相手がいる社会人は、ぜひ使ってほしい。

関係のないおっさんですら胸がときめくんですもの。


ツイートまとめ 2018年3月


健康の秘訣

悪気

裕福

ひげ

デザイン

ファミコン

IQ

電動工具

疑獄

対義語

NEW

大回転

夕陽

ちゃっちゃと

ソツ無し

本当は教えたくない

秋の味覚

公務員



本人確認

三重苦

非花粉症

想像力

困惑願望

内閣総理大臣賞


2018年4月27日金曜日

だだーん


ブログに好き勝手なことを書いているようでも、書きたいことをなんでも書いているわけではない。
共感してもらいたい、炎上してほしくない。
そういう思いが遠慮を生む。

「××たちは他人に迷惑をかけずに早く死ね」
「〇〇って知性のかけらもないよね」
心の中で思うことはあっても書くのを控えてしまう。

たとえ名前や顔を出していなくても自重してしまうのはぼくだけではなさそうだ。
匿名掲示板ですら身勝手な主張というのは存外少ない。
一見乱暴に見える主張であっても書いた人なりに支持を求めようとしている。差別的な発言、暴力的な発言も、それなりの論拠を示されている(その論拠に正当性があるかどうかはべつにして)。
「ジジイやババアに金を遣うのは税金の無駄遣いだから病院にかからずに死ね」と書く人はいても「ジジイやババアは嫌いだから死ね」という主張はめったになされない。
もっともらしい大義名分が付けくわえられる。年金がどうだとか医療費負担がどうだとか安楽死の権利がどうだとか。


もっと自由でいいじゃないか、と思う。
ジジイやババアを殺したらいかんけど、死ねと思うのは自由だ。書くことだって禁止されていない。

身勝手で、感情的で、正義をふりかざしていない文章がぼくは読みたい。
そういう文章が読めるのがインターネットの魅力だ。

とは思うのだがいざキーボードに指を乗せてみると、倫理観やら虚栄心やらがじゃまをして、こざかしい理屈をふりかざした文章を書いてしまう(この文章がまさにそうだ)。

だだーんと「あいつ嫌い。嫌いなものは嫌い」みたいな文章を書いてみてえな。



2018年4月26日木曜日

回転寿司屋でお見合い


どうも、はじめまして……じゃないですね。すみません、ふたりっきりになったので緊張してしまって。
はい、じゃあ改めてよろしくお願いします。

何飲みますか? 熱いお茶でいいですかね。
あっ、すみません、やってもらっちゃって。
じゃあぼくムラサキ入れますね。醤油のこと、ムラサキって言うんですよ、寿司業界では。通でしょ。

キョウコさん、趣味は何ですか?
すみません、ありきたりな質問しちゃって。
あっ、どんどん取っちゃってくださいね。一回見逃したらなかなか戻ってきませんから。
いやいや、いいですってば。早く取って。
へえ、はじめに軍艦巻きからいくタイプなんですね。ちょっと意外ですね。タマゴとかアナゴから入るタイプかと思ってました。あっ、やらしい意味じゃないですよ。ははっ。

ぼくですか? ぼくは休みの日はだいたい……。
あっ、あぶりチーズサーモン来た! 取って取って!
すみません、ぼくあぶりチーズサーモン大好きなんです。通でしょ。
キョウコさんもですか? じゃあもう一皿とりましょっか。

何の話でしたっけ。まあいっか。お仕事は何されてるんでしたっけ。
あっ、ちょっと待ってくださいね……。大トロとかいっちゃっていいですか。あーどうしよっかなー、いやでもなー、あー行っちゃった。まいっか、もう一周したときにまだあれば取ろうっと。

ぼくの仕事ですか?
昼間はふつうにシステムエンジニアやってます。夜は……。あっ、エンガワだ。ぼくエンガワ大好きなんです。いっぺんに三皿とってもいいですかね。

え? もう帰るんですか? まだぜんぜん食べてないんじゃないですか?
そうですか、じゃあぼくはもうちょっと食べてから行きます。それじゃ。


……わりとタイプだったな。結婚相談所で紹介された中では今まででいちばん手応えあったな……。

どうしよっかな、また回転寿司デートしましょうって連絡取ろうかな……。
まいっか、紹介がもう一周したときにまだいれば取ろうっと。

2018年4月25日水曜日

労働時間と給料は反比例する


今までに四つの会社で働いたことがあるが、その中で得られた法則は
「労働時間と給料は反比例する」
だ。
休日が少なく残業時間が多い会社ほど、給料も安い。


以前は逆だと思っていた。
つらい仕事はその分給料もいい、と。
アルバイトは、大変さと給料がだいたい比例する。
時給制だから労働時間が長いほど給料の額が増えるのは当然だし、肉体労働のようにきついバイトは時給も高い。
ところが正社員はその反対だ。

儲かる仕組みが作れない会社は人件費を削って利益を出すしかない。だから長時間労働があたりまえになるし、高い給料も出せない。だから人が辞める。残った人の負担は増える。もともと余裕がないのだから人が辞めたって残った人の給料は上がらない。かくしてさらに長時間労働・低賃金になる。

儲かっている会社は人が足りない。だから金を出して人を集めるし、集まった人に辞められないために金を出す。


ぼくはかつて長時間労働・低賃金のどブラックな環境で働いていたが、二回の転職の結果、今では当時の約半分の労働時間で、給料は倍以上になっている。時間あたりの所得でいうと四倍ということになる。といっても額面はワーキングプアだったのが同世代の平均程度になった、という程度だけど。
ぼく自身が年齢や経験を重ねたということもあるが、それを考えてもはじめの職場にいたら給料が四倍になることはぜったいにありえなかったわけで、抜けだしてよかったと心から思う(というかその会社はもう潰れた)。
生産性の低い会社でがんばっても大したスキルは身につかない。ブラック企業の五年よりホワイト企業の一年のほうがよほど成長できる。


あと労働時間が減るとストレスが減って睡眠時間が増えるから、衝動的な外食とか体調を壊しての医療費とかユンケル代とか無駄な出費も減った。
知識の吸収にあてる時間的余裕もできるし、そうなれば仕事も好転する。
きつい仕事をしててもなーんのいいこともない。唯一あるとすれば、少々きついことがあっても「当時に比べればヨユー」と思えることぐらいだ。


石川啄木に「働けど働けど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」という有名な歌がある。
石川啄木自身はクズ野郎なのでこの歌には共感しないが、一抹の真実も含まれている。ただ、正確に言うならば「働けど働けど」ではなく「働くから働くから」だ。
働きすぎるから楽にならないのだ。


ぼくが若い人に言いたいのは、

給料安い会社でがんばったって、いいことないぞ。

ろくな給料払えない会社が利益を出せるようになることなんかないぞ。

もしも奇跡が起こって利益を出せるようになったとしても、安い給料で雇ってきた会社が利益を従業員に回すようになることなんか百パーセントないぞ!