2016年11月11日金曜日

【エッセイ】ナチュラル美人

うちのおじいちゃんは農家だったが、車が大好きで、頭がぼけてきてからも車を乗り回していた(ほんとやめてほしかった。人をひき殺さなかったのは奇跡だと思う。あとド田舎で人がいなかったからだと思う)。

それから新しいもの好きで、新しいトラクターだから性能がいいとか、新しい肥料はすごいにちがいないとかいっていた。


もちろん例外はあるけれど、都会に住んでいる人よりも、田舎に住んでいる農家のおじいちゃんのほうが機械や化学肥料に対して全幅の信頼を置いているように思う。
「科学は生活を豊かにしてくれるものだ」という意識が、ゆるがないものとして根底にあるのだ。

自然に還ろう、なんてのはめったに自然の脅威にさらされることのない都会で生活しているから言えることであって、じっさいに自然を対峙して生きている人からすると、自然というものは人間を苦しめる存在であって、そこから守ってくれるのが科学という認識なのだと思う。


自然と美人はちょっと遠くから見ているぐらいがいちばんいいですよね、ほんと。


2016年11月10日木曜日

【思いつき】ヘイトお見合い


嫌いなものを語るときにこそ、その人の人間性があらわれるね。

好きを語るときは「あれ好きなんだー」で済むけど、
嫌いを語るときは「なぜ嫌いなのか」を自分なりに理由づけして、理論武装してから臨む。

お見合いでも、趣味を尋ねるよりも嫌いなものを言いあったほうが、お互いへの理解が深まるんじゃないかな。



 「マサヒロさん、お嫌いなものは?」

「占いと愛犬家と歯みがきと料理の写真撮る奴ですかね」

 「へー、そうなんですね」

「ミカさんのお嫌いなものは?」

 「一気飲みと朝礼とフラッシュモブを少々……」

「なるほど、なるほど。わかります」

 「ところでマサヒロさんは音楽鑑賞が趣味だということですけど、どういうジャンルが……?」

「すっごくふつうなんですけど、EXILEとか嫌いですね。あとはゆずとかユーミンとかですかね」

 「あっ、私もあれ嫌いです! 『栄光の架け橋』」

「ですよねー。ぼくたち気が合いそうですね!」

 「ですねー」

「えーと、こんなこと訊いちゃっていいのかな……」

 「なんですか?」

「どういった男性がタイプですか……?」

 「えっとですね。ちょっとマッチョな感じで、坊主の人。自分のイメージを上げるためなら何でも利用してやるぞっていうタイプ。そういうタイプが嫌いですね」

「芸能人でいうと?」

 「市川海老蔵さんがどんぴしゃです」

「あーわかります!」



どうでしょう。
相手の人となりがよく見えてきますし、ものすごく話が弾みそうですよね。

それか、まったくの無言になるかのどっちかね。

2016年11月7日月曜日

【エッセイ】どっちみち貸さないけど

よほど立ち居振舞いに隙があるのか、ちょくちょく変わった人に声をかけられる。

今日は自宅のすぐ近くで、自転車に乗った30歳くらいの男から
「すみません、お金ないんで、食べるもの買うお金もないんで、お金貸してもらえませんか」
と言われた。

もちろん金は貸さずに「急いでるんで」とその場を離れた。


その男に云いたいことはたくさんある。

「貸してくれって云うけどおまえ絶対返す気ないだろ」とか

「まずその自転車売ったら?」とか

「ほんとに困ってるなら交番か役所に行きなよ」とか。


いろいろあるけど、でもいちばん云いたいことは、

「知らない人にお願いをするときは自転車にまたがったままじゃなくて、ちゃんと降りてからお願いしなさい!」

とりあえずはこれ。


2016年11月5日土曜日

【エッセイ】光源氏のように

ぼくの友人にNくんという豪傑がいる。

といっても迫りくる宇宙からの危機に全米でただひとり勇敢に立ち向かったり、五条大橋で刀を999本集めたりするタイプの豪傑ではない。

彼自身はいたって温厚な男だ。
彼が豪傑たるゆえんは、どんな怪しい誘いも決して退けないことにある。


インターネットの世界には怪しい誘いが跳梁跋扈している。
Facebookに会ったこともない若いオナゴから友だち申請が来たり、
LINEで届いたメッセージに
「ひさしぶり(*^^*) 携帯変えたからこっちに連絡ちょうだい(はぁと)アイコ」
という文章とともに何故かメールアドレスではなくURLが貼られていたりする。

Nくんは、そのすべての誘いに「とりあえず乗ってみる」のだそうだ。
友だち申請は承諾し、見るからに怪しいURLも一応クリックし、メールアドレスが載っていればひとまずメールを送るのだという。

もちろんNくんだってばかではないから(ばかなんだけど)、
それらの誘いの送り主が、出会い系または詐欺をなりわいとしているおっさんであることは知っている。

「じゃあなんで誘いに乗るんだよ?」

ぼくの問いに対して彼は、きっぱりと云った。
「でも万にひとつ、ほんとにエッチな出会いを求めているかわいい女の子からの誘いだったなら。きっと彼女は、すごく勇気を出してメールを送ったと思うんだ。そのけなげな想いを無駄にさせるなんて……おれにはできないっ!」


ジェ、ジェントルマンっ……!

本当の優しさとは、きっとこういうことをいうのだろう。

その手のメールは即座にごみ箱に放り込んでいるぼくのような小市民からすると、会ったこともない(そして実在するかどうかもわからない)淫乱女のために大量のスパムメールを甘んじて受け入れる彼は、まるで光源氏のようにまばゆい存在である。

そして光源氏のようにエロい。



2016年11月2日水曜日

【エッセイ】ジョジョの奇妙なロボコップ

プレイステーションVRというやつをはじめて体験したよ。
ロボコップのヘルメットをもっとかさばる感じにしたやつをかぶってするゲーム。

ロボコップって知ってる?
ロボットのおまわりさん。
っていっても観たことない人には伝わらないかな。
んーなんていったらいいかな。

あっ、そうだ例えていうなら『ビバリーヒルズ・コップ』のロボット版。
ってよけいにわからんね。



んでもとにかくそのロボコップをかぶってするゲームが、プレイステーションVR。
だからたぶん「バーチャル・ロボコップ」の略でVRなんだと思う。

それか「ビバリーヒルズ・ロボコップ」の略かも。
ワーオ、ハイブリッド!
(ビバリーヒルズはVじゃなくてBか?)



それはそうとVRの映像すごい。
ゲームの光景が、ほんとに目の前に広がっているみたい。
『ビバリーヒルズ・コップ』もびっくりのド迫力。


ぜひVRで『ジョジョの奇妙な冒険』のゲーム開発してほしいよね。
VRの世界に自分のスタンドが出てくるの。
で、動き回ったり、敵と戦ったり、落ちてる宝くじを広い集めたりすんの(重ちーのハーヴェストかよ地味だな!)。

もちろん「スタンドが傷ついたら本体もケガをする」という設定も生かしてほしい。
スタンドがケガをしたら、電気を流すなどして痛みを感じるようにしてほしい。
スタンドが熱いものに触れたら、熱を感じさせてほしい。

危険だけど、だからこそ、ものすごくスリリングなゲーム体験ができるはず。



たとえば冬場にスタンドがドアのノブに触れたら、生身の肉体にもバチッとくるとか。

たとえばスタンドがカップ焼きそばの湯切りに失敗したら、生身の肉体も熱さを感じるとか。
ついでに360゜サラウンドシステムで、台所のシンクのべこんっていう音が鳴り響くとか。


そういうド迫力なゲームを期待してるよ!!