体操服を着ているおじさんを見た。
淀屋橋で。
体操服のおじさんは、
体操服を着ているからといってラジオ体操をするでもなく、ジョギングをするでもなく、なんでもない顔をして歩いていた。
歳は五十歳くらいだろうか。
わら半紙を丸めたような顔をした、どこにでもいるおじさんだ。
オフィス街を闊歩する体操服姿のわら半紙。
その姿に途方もない違和感を覚えると同時に、ぼくはなぜか懐かしさも感じていた。
あれ。
この感じ、知っている。
昔どこかで見たことある。
そうだ、あれだ。
遠足が中止になったのを知らない子だ。
雨で遠足が中止するなったのに、根拠不明の自信で遠足は決行されると信じ込み、ひとりだけ体操服でリュック背負って来ちゃった子。
スーツ姿に囲まれた体操服のおじさんは、教室にただひとり、体操服で授業を受けている子を思い起こさせた。
もしかしたらこのおじさんは、遠足が中止になったことをまだ知らないのかもしれない。
中止になったことを知らずに学校に来て、遠足が中止になったことを知らないままおじさんになっちゃった人。
だとしたら、とってもすてきなことだ。
だっておじさんにとっては毎日が遠足の日なのだから。
体操服のポケットにしまいこんだ遠足のしおりがくしゃくしゃになり、おじさんの顔のわら半紙がくしゃくしゃになるぐらいの年月が経っても、おじさんの胸は今も遠足の朝の高揚感で高鳴りつづけているのだ。
ああ。
遠足ピーターパンのおじさんよ。
あなたは自由の羽根という体操服を身にまとい、
永遠の冒険心が詰まったリュックサックを背負い、
夢と希望と200円分のお菓子を持ってビジネス街を軽やかに進んでゆく。
あなたの足取りのなんと軽やかなことか。
ぼくは自分が失ったものの大きさを思い知り、めまいを起こさんばかりだ。
ああ。
遠足ピーターパンのおじさんよ。
ぼくにその酔いどめ薬を分けてはくれないか!
2015年5月5日火曜日
ゲルマン的かいもの術
ぼくは買い物がヘタだ。
すでに冷蔵庫にあるものばかり買ってきてしまう。
特にあぶないのはジャガイモとタマネギとソーセージ。
なぜだかわからないけど、スーパーに行くとジャガイモとタマネギとソーセージばかり買ってしまう。
4個入りのジャガイモを買う。
家に帰るとジャガイモが4個も待ち構えている。
前回買ったときから1個も使っていないからだ。
まるで昆虫が知らず知らず脚についた花粉を運んで花の繁殖を手伝わされるように、ぼくもずる賢いジャガイモの罠にかかってジャガイモを次々と家へと運ばされている。
どうしてとりつかれたようにジャガイモやソーセージばかり買ってしまうのか。ぼくの前世はドイツ人なのだろうか。ぼくの中のゲルマン魂が無意識のうちにソーセージを手に取らせているのか。おそろしい。
毎回後悔するのに、やっぱり同じものを買ってしまう。
だけどぼくだってばかじゃない。己の「同じものを買ってしまう病」を理解したうえで、それと付き合っていく工夫をしている。
「買いすぎても腐らないものを買うようにする」
魚や生肉や青野菜は傷みやすいから、いくつも買うと腐らせてしまう。
だから賢いぼくは、比較的傷みにくい根菜や加工肉を買う。具体的には、ジャガイモやタマネギやソーセージだ。
なんて賢明で合理的な発想なんだろう!
さすがは合理的なドイツ人の生まれ変わりであるぼくだ。
実に合理的な判断だ。
己の中のゲルマン魂にただただ感服するばかり。
すでに冷蔵庫にあるものばかり買ってきてしまう。
特にあぶないのはジャガイモとタマネギとソーセージ。
なぜだかわからないけど、スーパーに行くとジャガイモとタマネギとソーセージばかり買ってしまう。
4個入りのジャガイモを買う。
家に帰るとジャガイモが4個も待ち構えている。
前回買ったときから1個も使っていないからだ。
まるで昆虫が知らず知らず脚についた花粉を運んで花の繁殖を手伝わされるように、ぼくもずる賢いジャガイモの罠にかかってジャガイモを次々と家へと運ばされている。
どうしてとりつかれたようにジャガイモやソーセージばかり買ってしまうのか。ぼくの前世はドイツ人なのだろうか。ぼくの中のゲルマン魂が無意識のうちにソーセージを手に取らせているのか。おそろしい。
毎回後悔するのに、やっぱり同じものを買ってしまう。
だけどぼくだってばかじゃない。己の「同じものを買ってしまう病」を理解したうえで、それと付き合っていく工夫をしている。
「買いすぎても腐らないものを買うようにする」
魚や生肉や青野菜は傷みやすいから、いくつも買うと腐らせてしまう。
だから賢いぼくは、比較的傷みにくい根菜や加工肉を買う。具体的には、ジャガイモやタマネギやソーセージだ。
なんて賢明で合理的な発想なんだろう!
さすがは合理的なドイツ人の生まれ変わりであるぼくだ。
実に合理的な判断だ。
己の中のゲルマン魂にただただ感服するばかり。
2015年5月4日月曜日
コッシーの曲
子どもが生まれてからNHK Eテレの幼児向け番組をよく見るんだけど、番組で流れている曲を作っているのが、トータス松本とか山崎まさよしとかつんくとかワタナベイビーとか、なじみのある人たちだ。
そうか、この人たち今では子ども向けの曲を作るようになったのか。
……と思ったが、よく考えたらたぶんそうじゃない。
子ども向けではなく、親世代向けにキャスティングされているんだと気づいた。
どうせなら親がよく知っているアーティストのほうがいいもんな。
それに、30代にかぎっていうなら『ミュージックステーション』より『いないいないばあ』のほうが視聴している人数が多いんじゃないだろうか。
曲のマーケティング的にも、歌番組に出るより幼児向け番組のほうが宣伝効果は高そうだ。
今人気のアーティストも、15年たったら『みいつけた!』の曲を作ってるんだろうな。
2015年5月3日日曜日
ハンディキャップ理論
クジャクや極楽鳥は派手な色の羽を広げて異性を惹きつけようとする。
あれは異性に対して「私は生きていく上ではどうでもいい羽の色を美しくすることにこんなにもエネルギーを使う余裕があります。すなわち、それだけ強いんです」
ということをアピールしているらしい。
これを「ハンディキャップ理論」っていうんだって。
ガゼルがライオンに追いかけられたときに一目散に逃げずにその場でジャンプするのも同じ理由からだとか。
「戦略的にあえて生存に不利益な行動をとることで個体としての強さを示している」
というとなんとなくかっこよく聞こえるけど、
要は
「モテたくてイキがってる」
だよね。
あれは異性に対して「私は生きていく上ではどうでもいい羽の色を美しくすることにこんなにもエネルギーを使う余裕があります。すなわち、それだけ強いんです」
ということをアピールしているらしい。
これを「ハンディキャップ理論」っていうんだって。
ガゼルがライオンに追いかけられたときに一目散に逃げずにその場でジャンプするのも同じ理由からだとか。
「戦略的にあえて生存に不利益な行動をとることで個体としての強さを示している」
というとなんとなくかっこよく聞こえるけど、
要は
「モテたくてイキがってる」
だよね。
2015年5月1日金曜日
高性能レーダー
最新の戦闘機は高性能レーダーで、数十キロメートル離れたところにいる戦闘機が敵か味方か判別できるらしい。
すげえなあ。
ぼくなんか1メートル先にいる妻が、現在 敵か味方かもわからないのに。
すげえなあ。
ぼくなんか1メートル先にいる妻が、現在 敵か味方かもわからないのに。
登録:
投稿 (Atom)