2016年4月26日火曜日

【エッセイ】バイクのブーン その3

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バイクのふたり乗りは、必死にしがみついているさまがあわれだとしか思えない。
だけど、これまでの人生で一度だけ、ふたり乗りをかっこいいと思ったことがある。

バイクじゃなくて自転車だけど。


とある下町に住んでいたときのこと。

あたしはワケあって、商店街に行った。
ワケっていっても、塩大福買いにいっただけですけど。
それ以上のワケはありませんけど。



商店街の入口で、自転車のふたり乗りとすれちがった。
やんちゃな学生が多い地域だったから、自転車のふたり乗りなんて、道端に落ちてる手榴弾と同じくらいありふれた光景だった。どんな地域だ。

でも、あたしがすれちがったふたり乗りはひと味ちがっていた。
自転車を運転してるのが、70歳くらいのじいさんだった。
で、そのじいさんの両肩に手をおき、後輪に足を乗せているのも、70歳くらいのじいさんだった。


かっけえ……。


そのころ、友人に誘われてSMAPのコンサートに行ったことがある。
付き添いで行っただけでべつだん興味なかったから、踊って歌うSMAPを見ながら、なんでこんなのにみんなきゃあきゃあ云うんだろうかとふしぎだった。

SMAPにはぜんぜんときめかなかったあたしだけど、じいさんのふたり乗りにはしびれた。


じいさんたち、すっげえ愉しそうだった。

そりゃ愉しいだろう。
70過ぎて自転車のふたり乗りして、愉しくないはずがない。


若者たちはバイクでスピードを出してスリルを味わうけど、そんなの比じゃない。

だって、じいさんたちの場合、こけたら寝たきりだよ?
すごいスリルじゃない?

そりゃかっこいいわ。

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