2016年2月9日火曜日

【読書感想】スティーヴン・キング『グリーン・マイル』

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内容(「BOOK」データベースより)大恐慌さなかの一九三二年、アメリカ南部、コールド・マウンテン刑務所。電気椅子へと続く通路は、床に緑のリノリウムが張られていることから通称“グリーン・マイル”と呼ばれている。ここに、双子の少女を強姦殺害した罪で死刑が確定した黒人男性ジョン・コーフィが送られてくる。看守主任のポールは、巨体ながら穏やかな性格のコーフィに一抹の違和感を抱いていた。そんなある日、ポールはコーフィの手が起こした奇跡を目の当たりにしてしまう…。全世界で驚異的ベストセラーとなったエンタテインメントの帝王による名作が、十七年の時を経て鮮やかに蘇る。

『刑務所のリタ・ヘイワース』と並んで有名な、キングによる刑務所を舞台にした作品。
『刑務所のリタ・ヘイワース』ときいてもピンとこないかもしれないが、映画『ショーシャンクの空に』の原作だと云われれば、ああ、あの。とうなずく人も多いだろう。
『グリーン・マイル』も、スピルバーグ監督の同名映画のほうが有名だ。

エンタテインメントとしては、『刑務所のリタ・ヘイワース』のほうがずっとおもしろい。
謎解きの要素やどんでん返しがあり、勧善懲悪的なストーリーなので、最後はすかっとする
『グリーン・マイル』のほうは、全体的に重たくて、読むのに体力を要する。
前半は何もおこらないし、残酷きわまりない描写はあるし、終始イヤなやつが主人公と読み手を不快にさせるし、善人が救われないし。
明るくハッピーなだけの物語を読みたい人にはまったくおすすめできない。


『グリーン・マイル』は“神”の物語だ。
ぼくはこの本を読みながら、遠藤周作の『沈黙』を思いだしていた。

『沈黙』のストーリーはこうだ。
江戸時代、キリシタンの男が厳しい弾圧に遭い、拷問を受ける。男は神の救済を一心に信じて拷問に耐えつづけるのだが、事態は一向に改善しない。信仰心に報いずに「沈黙」を貫く神に対して、ひたすら神を信じていた男はついに疑念を持つ―――。

一方、『グリーン・マイル』には神の使いのような男が登場して、病気を治したりネズミを助けたりといった数々の奇跡を起こす。
だがその奇跡は大きな問題を解決しない。
無惨に殺された双子の少女は助けられない。痴呆を治した相手は事故死する。そして、奇跡の使い手である男は無実の罪で死刑に処せられることが確定している―――。

どちらの作品でも描かれているのは「信じるものを救わない」神の無慈悲さであり、信仰する神に疑念を抱いた人間の、信じたいが信じられないという葛藤である。

無宗教の人間からするとそんな神様さっさと捨ててしまえばいいじゃんと思うのだが、やはり信者からするとそういうわけにはいかないのだろう。

ぼくは宗教を持たないが、それに代わる拠り所はある。
国家が己のために何もしてくれなかったとしてもぼくは日本人でありつづけるだろう。
親が自分にとって害をなすだけの存在になったとしても、やはりかんたんに親子の縁は切れないだろう。

自らを形成しているものが破壊されたとき、ぼくは自身を再構築できるんだろうか。
途方もなくめんどくさそうだ。
めんどくさいあまり、『グリーン・マイル』における神の使いのように、死を選んでしまうかもしれない。



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